【連載】白衣のポケット ~薬剤師の小さな宝物~
かかりつけ薬局百名店に加盟する、全国の先生方がバトンをつないで綴るリレーエッセイ。
普段、カウンター越しには見えない先生の「心の中」や、診察室で生まれた「小さなドラマ」。 白衣のポケットにしまってある、処方箋には書けない大切な物語をお届けします。
第三回は、東京都・埼玉県を中心に展開する「飛鳥薬局」の本間裕規先生です。
※飛鳥薬局・フローラ薬局・さと薬局(有限会社内観堂)はグループ会社です。
「患者さん」に寄り添う薬剤師
はじめまして。 「飛鳥薬局」で管理薬剤師、そして本部の運営にも携わっております、本間裕規です。
いきなりですが、皆さんは「患者」という漢字をじっくり見たことはありますか?
「患」という字、よく見ると「心」の上に「串」が刺さっているんですよね。
私たち薬剤師は、お薬をお出しして病気を治すお手伝いをするのは当然ですが、それだけではどこか味気ない。 心のどこかに「チクッ」と刺さっている不安や緊張を、お喋りしながらそっと解きほぐす。
そんな「心の串を抜く」ような存在でありたいな、なんて思いながら毎日白衣を着ています。
医療のリレーを締めくくる「アンカー」として
病院での検査や診察を終えて、最後にたどり着くのが薬局です。
薬剤師はいわば、医師からバトンを受け取って、その日の治療を「安心」へと繋ぎきるアンカーです。
処方せんは医師から託された、健康のための大切なバトン。 薬局はそのバトンをしっかりと繋ぎ、その時に「この薬局に寄ったら、なんだか笑って帰れたな」と思える瞬間を創る。 そんな場所であることが、私の目指す薬局の姿です。
実は「笑うこと」は、何よりも免疫力を高める力になると言われています。 薬局での対話を終え、お帰りになる際のふわりと和らいだ表情で見せてくれる笑顔。 それこそが、皆さんの元気を引き出し、健やかな明日をつくる「一番の処方箋」になると信じて、今日もカウンターに立っています。
仲間の笑顔が、患者さんの安心につながる
ただ、患者さんを笑顔でお迎えするためには、私一人の力では足りません。
管理本部の責任者という立場になり、私がもう一つ重きを置くようになったのが、共に働くスタッフたちが心地よく働ける環境です。
患者さんの力になりたい。けれど、現実には膨大な事務作業も立ちはだかっています。 もし、一緒に働くスタッフが忙しさに追われて余裕をなくしてしまえば、患者さんに心からの笑顔を届けることは難しくなってしまいます。
「患者さんを笑顔にするために、まずは仲間たちの心から『余裕を奪う串』を抜かなければ」
そんな思いから、私はこれまで様々なシステムを構築してきました。
「面倒なことは機械に、楽しい会話は人間に」
例えば、病院との連携をスムーズにする仕組みを整えたり、煩雑な事務作業を数ステップで完了させるアプリを作成したり、といった具合です。
これは決して、単なる「効率化」そのものが目的ではありません。 煩わしい作業をITの力で整え、スタッフの心にゆとりを生み出すための、私なりの「工夫」なんです。
最新技術を導入する最大のメリット。 それは、私たち薬剤師や事務員の事務作業を大幅に減らし、処方せんだけではわからない、一人ひとりの日常を一緒に考える。 そんな、ちょっと贅沢な対話の時間を創り出せることにあります。
診察室では緊張して飲み込んでしまった小さな疑問や、なんとなく言いそびれた不安。 そんなこぼれ落ちそうな想いを、ゆとりを持って受け止める。 「アンカー」である私たちが最後にお話を聞き、心に刺さった小さなトゲをそっと抜いてあげる。 そんな心の通い合いにこそ、創り出した時間をたっぷり使いたいと考えています。
10年後も、この街でみんなと笑っていたい
今、薬局を取り巻く環境はどんどん変わっていますが、私が一番大切にしたいのは、皆さんがふらっと立ち寄って「最後は笑顔になれる場所」を守り続けることです。
そのためには、まず私たちスタッフ自身が笑顔で、心に余裕を持って働いていることが大切です。
これからも最新のツールを味方につけて、患者さんも、そして一緒に働く仲間も、みんながニコニコしていられるような、新しい薬局の形を創っていきたいと思っています。
お薬のことでも、それ以外のちょっとした世間話でも構いません。ドアを開けた時よりも、ほんの少しだけ明るい気持ちで帰っていただけるよう、今日も最高の笑顔でお待ちしています。

【この記事を書いた人】 本間裕規
飛鳥薬局 管理薬剤師 / 本部運営
「心の串を抜く」対話を大切にしながら、IT技術やアプリ開発を駆使して薬局の業務効率化を推進。スタッフの心にゆとりを生み出すことで、患者様へ笑顔と安心を届ける薬局づくりに尽力している。
飛鳥薬局はこちらのページをご参考にされて下さい。

運営からの一言
「患」という字は、心に串が刺さっている。 本間先生のこの気付きに、ハッとさせられた方も多いのではないでしょうか。
内観堂さんがIT化やアプリ開発を進める理由が、「効率化」ではなく「患者様と笑顔で話す時間を創るため」であるという点に、温かい人間味を感じます。医療のIT化が進む現代において、「面倒なことは機械に、楽しい会話は人間に」というスタンスは、まさにこれからの薬局が目指す理想の姿ですね。
心にちょっと不安な「串」が刺さってしまったときは、ぜひ内観堂さんへ。帰り道にはきっと、その串が抜けて笑顔になれるはずです。

