こんにちは。「全国かかりつけ薬局百名店」運営事務局です。
「お父さんの退院が決まってホッとしたけれど、もらった薬の量を見てゾッとした…」
「朝、昼、晩、食前、食後…こんなにたくさんの薬、家でちゃんと飲ませられる自信がない」
ご家族の退院は本来とても喜ばしいことですが、同時に、介護を担うご家族にとっては「新たな壁」の始まりでもあります。
入院中は、プロである看護師さんが時間通りに薬を管理し、飲ませてくれていました。しかし、自宅に戻った途端、その重い責任がすべてご家族の肩にのしかかってきます。
今回は、そんな退院直後の「薬パニック」を防ぎ、安心して自宅療養をスタートするための「病院と薬局の連携(退院時カンファレンス)」と、「訪問薬剤師の賢い使い方」について、現場のプロ2名が解説します。
病院から自宅へ。「薬のバトン」を繋ぐ退院時カンファレンス
「退院後の薬の管理が不安…」
実は、そう思っているのはご家族だけではありません。病院の医師や看護師も、「家に帰ってから、ちゃんと間違えずに薬を飲めるだろうか?」と非常に心配しています。
そこで行われるのが、「退院時カンファレンス」という話し合いです。
退院時カンファレンスとは?
患者様が退院する前に、病院の医師、看護師、地域のケアマネジャー、そして「かかりつけ薬剤師」などが集まり、自宅での療養方針をすり合わせる重要な会議です。
【武田先生の解説:病院側のホンネ】
「病院薬剤師の立場から言うと、退院後に一番恐れているのは『飲み間違い』や『自己判断での服薬中止』による症状の悪化で、再入院してしまうことです。
そのため、退院時カンファレンスでは、地域の薬局の薬剤師に対して『入院中にこの薬で副作用が出たので気をつけてください』『飲み込む力が弱まっているので、粉薬にするか検討してください』といった、命に関わる重要なバトンを直接手渡します。この連携があるからこそ、ご家族は安心して自宅に迎えられるのです」
「自宅のリアル」に合わせて薬をカスタマイズする
病院では「毎食後、きっちり3回」飲めていた薬でも、自宅に戻るとそうはいきません。
生活リズムが不規則になったり、ご家族が仕事で日中不在だったりすると、途端に薬の管理は難航します。
ここで活躍するのが、在宅訪問を行う薬剤師です。

【高橋先生の解説:現場のリアル】
「ご自宅に伺うと、『病院の指示通りに飲ませなきゃ!』とご家族がプレッシャーを感じて疲弊していることがよくあります。
しかし、自宅には自宅のリアルな生活があります。私たち訪問薬剤師は、患者様の現在の体力や生活環境を見て、『薬をカスタマイズ』します。
例えば、朝昼晩と分かれているのが大変なら、医師に相談して『1日1回で済む薬』に変更してもらったり、ご家族がセットしやすいように『朝の分だけを赤い線でまとめた一包化』にしたり。ご家族が無理なく続けられる形を作ることが、私たちの最大の仕事です」
【比較表】病院の管理と自宅(訪問薬剤師)の管理
| 項目 | 入院中(病院) | 退院後(自宅での訪問薬剤師) |
| 環境 | 常に医療従事者がいる | 家族が見守る(日中独居の場合も) |
| 薬の形状 | 状態に合わせてその都度変更 | 生活に合わせ、一包化や粉砕などを事前に準備 |
| 飲むタイミング | 病院のスケジュールに合わせる | 患者様の実際の食事時間や起床時間に合わせる |
| 残薬の確認 | 看護師が毎日チェック | 訪問時に薬剤師がカレンダー等をチェックし調整 |
退院直後こそ「在宅訪問」を頼ろう
退院直後は、患者様ご自身の体力が落ちていたり、環境の変化で体調を崩しやすかったりと、薬の効き目や副作用に最も注意が必要な時期です。
また、ご家族にとっても介護のペースが掴めず、精神的にも肉体的にも一番しんどい時期でもあります。
「薬をもらうために、患者本人を置いて薬局で長時間待つ」のは、現実的ではありません。
だからこそ、退院時カンファレンスで情報を共有した薬剤師が直接自宅へ来てくれる「在宅訪問」のサービスを、最初からフル活用してください。
あわせて読みたい(条件や費用について)

(※こちらの記事で、ご自宅に薬剤師を呼ぶための具体的な条件や、介護保険・医療保険を使った際の費用について詳しく解説しています。)
よくある質問(FAQ)
退院時カンファレンスには家族も参加した方がいいですか?
はい、できる限りご参加をおすすめします。
ご家族が「自宅でどんなサポートができるか(日中家にいるかなど)」を伝えることで、より現実に即した薬の管理方法をチーム全体で考えることができます。
まだ「かかりつけ薬局」が決まっていません。退院までにどうすればいいですか?
病院の「地域連携室」や「医療ソーシャルワーカー」にご相談ください。
退院後の自宅近くで、在宅訪問に対応してくれる薬局を探してくれます。もちろん、事前にご自身で「百名店」の中から訪問対応可能な薬局を探し、病院に指定することも可能です。
あわせて読みたい(かかりつけ薬局の選び方)

退院後、薬が合わなくて体調が悪くなった場合はどうすればいいですか?
すぐに訪問薬剤師にご連絡ください。
薬剤師が状態をヒアリング(必要であれば訪問して確認)し、すぐに主治医へ連絡して薬の変更や一時中止などの手配を行います。これが「チーム医療」の最大の強みです。
まとめ:一人で抱え込まず、チーム医療の輪に入ろう
親御さんの退院。それはご家族にとって、新しい生活のスタートであり、同時に「介護」という見えない不安との戦いでもあります。
「薬をちゃんと飲ませなきゃ」
「間違えたら大変なことになる」
その責任感を、ご家族だけで背負う必要はありません。
退院時カンファレンスで繋がれたバトンを受け取り、ご自宅まで伴走してくれる薬剤師は、あなたの頼もしいチームメイトです。
「百名店」に選ばれるような薬局は、単に薬を渡すだけでなく、ご家族の心の負担を軽くするためのサポートを惜しみません。
退院が決まったら、ぜひ早めに「かかりつけ薬局」に相談し、安心できる自宅療養の準備を始めてくださいね。
あなたの街の「百名店」はどこ?
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬剤師 武田 隆芳

これまで4年間病院、8年間調剤薬局で勤務。
西洋薬で様々な事を学んできましたが、身近にいる人の悩みにもっと深く関わり治していきたいという想いがあり漢方の道へ。
西洋医学・東洋学にも精通。
また人事部長の経験から人を繋ぐ取り組み企業×学生の「やくフェス」を開催。
現在100人規模の人数が集まり随時開催されている。
記事監修者 アトイ 人事・管理薬剤師 高橋 透泰

在宅特化型薬局に5年間勤務、在宅医療の経験を積む。
その経験を活かし、管理薬剤師としての役割や薬局運営にも幅広く関わりたいと考え、株式会社アトイに転職。
現在はブルーム薬局上溝店で管理薬剤師として勤務し、在宅医療に加え、学校薬剤師や薬物乱用防止活動などを通じて地域の方々と関わりながら、薬剤師としての役割を広げている。



