薬の保管方法は?冷蔵庫に入れるべき薬と、常温でいい薬の見分け方を薬剤師が解説

この記事の要点

  • ほとんどの飲み薬は常温で保管します。「とりあえず冷蔵庫」は正しくありません。
  • 冷蔵庫に入れるのは、袋や箱に「冷所」「2〜8℃」と書かれている薬だけです。
  • 家の中で避けたいのは洗面所・コンロのそば・車の中。湿気と高温と直射日光に弱いためです。
  • 置き場所に迷ったら、袋ごと薬局へ。その薬に合った置き方を教えてもらえます。

こんにちは。「全国かかりつけ薬局百名店」運営事務局です。

「薬って、冷蔵庫に入れたほうが長持ちするのかな?」
「洗面所の棚に置きっぱなしだけど、大丈夫?」

薬の置き場所は、受け取るときにさっと説明されるだけのことが多いものです。
家に帰るころには、忘れてしまっていることもあります。

ですが、置き場所を間違えると品質が落ちてしまいます。
覚えることは多くありません。順番に見ていきましょう。


「とりあえず冷蔵庫」は、正しい置き方ではありません

冷蔵庫は万能な置き場所ではありません。
指示のない薬を入れると、かえって品質を落とすことがあります。

いちばんの理由は結露(けつろ=温度差でつく水滴)です。
出し入れのたびに水滴がつき、湿気に弱い薬が湿ってしまいます。

冷蔵庫に入れるのは、袋や箱に「冷所保存」「2〜8℃」と書かれているものだけ。そう覚えてください。

【早見表】薬の種類別・置き場所の目安

薬の種類置き場所の目安
飲み薬(錠剤・カプセル・粉薬)常温。直射日光と湿気を避ける
シロップ剤袋の指示に従う。「冷所」とあれば冷蔵庫へ
坐薬体温で溶けるものが多く、冷蔵庫の指示が多い
目薬常温のものと冷所のものがある。箱の表示を見る
インスリンなどの注射使っていない分は冷蔵庫。凍らせない

同じ「目薬」でも、常温のものと冷所のものがあります。
種類がひとまとめに決まっているわけではない、ということです。

まとめると、判断のもとは「箱や袋に書いてある表示」です。
薬の形で決めず、書いてある指示で決めてください。


家の中で、置かないほうがよい3つの場所

① 洗面所・脱衣所

家の中で、いちばん湿気が多い場所です。
粉薬やシートから出した錠剤は、湿気を吸って変わってしまいます。

「歯みがきのついでに飲むから」と鏡の裏に置く方が多い場所でもあります。
飲む場所と置く場所は、分けて考えてください。

② キッチンのコンロ・炊飯器のそば

熱と蒸気が集まる場所です。
「食事のときに取りやすいから」と置きがちですが、薬にはいちばん向きません。

③ 車の中(ダッシュボードの上)

夏の車内は、想像よりずっと高温になります。
置き忘れた薬は、見た目が変わっていなくても使わないでください。

向いているのは寝室や居間の引き出しです。
温度が変わりにくく、直射日光が当たらない場所を選んでください。


冷蔵庫に入れる薬で、気をつける3つのこと

  • 凍らせない。製氷室のそばや、冷気の吹き出し口の正面は避けます
  • ドアポケットは向きません。開け閉めのたびに温度が動くためです
  • 食品と分ける。ふた付きの箱にまとめておくと、家族の取り違えを防げます

とくに凍らせてしまうと、元に戻せない薬があります。
冷えすぎが心配なときは、野菜室を使えるかどうか薬局で聞いてみてください。


小さなお子さんがいる家では、もう一段の工夫を

品質のことに加えて、誤飲を防ぐという視点も必要になります。

テーブルの上や、かばんの中は避けてください。
子どもは、大人が思うより高い場所まで手が届きます。

向いているのは、目の高さより上の棚や、ふたの閉まる箱です。
家族それぞれの薬を、箱ごと分けておくと取り違えも防げます。

お年寄りのいるご家庭でも、同じ考え方が役に立ちます。
「誰の、いつ飲む薬か」が一目で分かる形にしておくと安心です。


「もらった日」を書いておくと、迷わなくなります

目薬や粉薬には、開けたあとに使える期間が短くなるものがあります。

袋や箱に「○月○日にもらった」とペンで書いておく。
これだけで、後から見たときの判断がぐっと楽になります。

固まっている、においが変わっているものは、飲まずに薬局へ。
湿気による変化については、漢方薬の記事でもくわしく取り上げています。


よくある質問(FAQ)

シートから出して、ピルケースにまとめて入れてもいいですか?

1週間分くらいまでなら、多くの薬で問題になりません。

ただし、光や湿気に弱い薬は向きません。
まとめる前に、一度薬局で確認してください。飲み忘れが多い方には、一包化という方法もあります。

引き出しに古い薬が残っています。期限はどこを見ればいいですか?

市販薬は外箱、処方された薬は袋やシートをご覧ください。

小分けにされている薬は、日付が見当たらないこともあります。
いつ頃もらったものか分かれば、薬局で判断できます。

旅行に薬を持っていきます。どう持ち運べばいいですか?

高温になる場所を避けるのが基本です。

夏の車内や、日の当たる場所に置いたかばんは温度が上がります。
冷蔵庫の指示がある薬は保冷剤と一緒に。直接触れると凍ることがあるので、タオルで包みます。


まとめ:置き場所は「表示どおり」と「湿気を避ける」の2つ

薬の保管方法は、むずかしく考える必要はありません。

①箱や袋の表示に従う ②湿気・高温・直射日光を避ける。
この2つだけ覚えておけば、ほとんどの場面で困りません。

冷蔵庫は「指示があるものだけ」。
迷ったときは袋ごと持って、かかりつけの薬局で聞いてみてください。

置き場所を決めておくと、飲み忘れも減ります。
「ここに置く」と家の中で1か所に決めてしまうのが、いちばん続きます。


あなたの街の「百名店」はどこ?

記事監修者 アトイ 人事・管理薬剤師 高橋 透泰

在宅特化型薬局に5年間勤務、在宅医療の経験を積む。

その経験を活かし、管理薬剤師としての役割や薬局運営にも幅広く関わりたいと考え、株式会社アトイに転職。

現在はブルーム薬局上溝店で管理薬剤師として勤務し、在宅医療に加え、学校薬剤師や薬物乱用防止活動などを通じて地域の方々と関わりながら、薬剤師としての役割を広げている。

記事監修者 株式会社アトイ・管理薬剤師 

  • 青森県弘前市出身 日本薬科大学卒業
  • 卒業後は大学病院の門前の調剤薬局に勤務
  • 地域のかかりつけ薬剤師を目指し吉祥寺エリアで勤務
  • その後株式会社アトイに入社現在に至る

卒業してから調剤薬局一筋の経験を活かし、人材育成や教育に携わっていきたいと考え入社しました。

現在はあやめ薬局井草八幡店という店舗で管理薬剤師をして地域の方々の憩いの場として関わらせていただいてます。