市販薬と処方薬の違いは?同じ成分でも量が違う理由と、病院に行く目安を薬剤師が解説

この記事の要点

  • 市販薬と処方薬は、名前や成分が似ていても「別のもの」です。入っている量も、成分の数も違います。
  • 市販薬は自分で選んで買える代わりに、成分の量が控えめに作られているものが多くあります。
  • 処方薬は医師が診察したうえで、その人に合わせて量と期間を決めた薬です。人にゆずることはできません。
  • 市販薬で3〜4日ようすを見ても変わらないときが、受診を考える目安です。買う前の相談も歓迎です。

こんにちは。「全国かかりつけ薬局百名店」運営事務局です。

「病院でもらう薬と、ドラッグストアの薬。
成分が同じなら、わざわざ病院に行かなくてもいいのでは?」

薬の箱を見比べて、そう思ったことはありませんか。
たしかに、名前のよく似た薬はたくさんあります。ただし、名前が似ていても中身まで同じとは限りません。


市販薬と処方薬は、そもそも「使う場面」が違います

市販薬(OTC医薬品)は、薬剤師や登録販売者に相談しながら、自分で選んで買う薬です。

処方薬(医療用医薬品)は、医師が診察して、その人の状態に合わせて出す薬です。
同じ成分が入っていても、この2つは別々の決まりのもとで作られています。

市販薬の箱に、こまかい注意書きがぎっしり並んでいるのはそのためです。
そばに専門家がいない場面でも使えるように、読めば分かる形にしてあります。

【早見表】市販薬と処方薬、どこが違う?

項目市販薬処方薬
選ぶ人自分(相談しながら)医師
成分の量控えめなことが多いその人に合わせて決める
成分の数複数まとめて入りやすい1種類ずつが基本
買える場所薬局・ドラッグストア処方箋を出した薬局のみ
使う期間数日ようすを見る医師が指示した日数

表を一言でまとめると、市販薬は「はじめの一手」、処方薬は「診察を受けたあとの一手」です。どちらが上ということではなく、役割が分かれています。


同じ成分でも中身が違う、3つのポイント

① 入っている量が違う

いちばん大きな違いが成分の量です。市販薬は、はじめて飲む方でも使いやすいように、控えめな量に設定されているものが多くあります。

そのぶん、感じ方はおだやかなことがあります。
「同じような名前なのに、病院のもののほうがしっかりしている気がする」というのは、ここから来ています。

② 入っている成分の数が違う

市販薬は1箱にいくつもの成分がまとめて入っていることがよくあります。かぜ薬が代表です。
熱・鼻・せき・のど。まとめて楽になるよう組み合わせてあります。

いっぽう処方薬は、必要な成分だけを1種類ずつ出すのが基本です。
これは飲み合わせを考えるときに大事になります。市販薬を足すと、知らないうちに同じ成分を二重にとってしまうことがあるためです。

③ 薬剤師の関わり方が違う

市販薬にも薬剤師からの説明が必要な区分(要指導医薬品・第1類医薬品)があります。棚に並んでおらず、カウンターの奥に置かれているのはそのためです。

レジで薬剤師が呼ばれるのは、手間をかけさせているからではなく、決まりに沿った手続きです。待つ時間ができるぶん、遠慮なく質問してください。


市販薬でようすを見ていいとき、受診を考えるとき

迷ったときの目安を、下にまとめました。

いまの状況目安
1〜2日で落ち着いてきた市販薬でようすを見て構わないことが多い
3〜4日たっても変わらない一度、受診を考える
だんだん強くなっている早めに受診を
持病がある・薬を飲んでいる買う前に薬剤師へ相談
小さなお子さん・妊娠中の方自分で選ばず相談

市販薬は「数日、ようすを見るための薬」と考えると、線を引きやすくなります。

買う前に伝えると、選び方が変わる3つのこと

  • いま飲んでいる薬。処方薬だけでなく、市販薬とサプリメントも含めて伝えてください
  • 持病と、合わなかった薬。以前に体に合わなかったものがあれば、その名前も
  • いつから、どんな症状か。「3日前から」「夜だけ」など、ざっくりで構いません

この3つが分かると、すすめられる薬はがらりと変わります。
お薬手帳を見せれば、1つ目と2つ目はそのまま伝わります。

なお「同じ成分なのに違う」という話では、ジェネリック医薬品もよく話題になります。こちらは処方薬どうしの比べ方です。


よくある質問(FAQ)

病院でもらった薬が残っています。似た症状なら、また飲んでいいですか?

自分で判断せず、まずご相談ください。

処方薬は、診察を受けたその時点の状態に合わせて、量と日数が決められています。
似た症状でも原因が違えば、選ばれる薬は変わります。残っているものはそのまま袋ごと薬局へお持ちください。

市販薬を飲んでいることは、薬局で言ったほうがいいですか?

ぜひお伝えください。

処方薬と成分が重なることがあるためです。かぜ薬や鎮痛剤は、とくに重なりやすい組み合わせです。
お薬手帳に市販薬やサプリメントも書いておくと、伝え忘れがなくなります。

市販薬のほうが値段は高いのでしょうか?

一概には言えません。

処方薬には健康保険が使えますが、別に受診の費用がかかります。市販薬は保険が使えないぶん、全額が自己負担です。
通う回数や手間まで含めると、どちらが得かは場面によって変わります。

飲んでいるものを伝えるときは、お薬手帳があると早く済みます。書き方はこちらでまとめています。


まとめ:市販薬は「はじめの一手」、処方薬は「診察のあとの一手」

市販薬と処方薬は、名前や成分が似ていても、量も成分の数も違う別の薬です。

市販薬は数日ようすを見るための薬。処方薬は診察を受けたうえで、その人のために出された薬。
この線引きだけ覚えておくと、売り場で迷いにくくなります。

そして、市販薬でしのいでいることは次の受診のときに医師へも伝えてください。
飲んだ内容が分かるほど、話が早く進みます。

そして、迷ったときは買う前に薬剤師へ声をかけてください。
「いま飲んでいる薬」と「気になっている症状」を伝えるだけで、選び方は変わります。


あなたの街の「百名店」はどこ?

記事監修者 株式会社アトイ・管理薬剤師 

  • 青森県弘前市出身 日本薬科大学卒業
  • 卒業後は大学病院の門前の調剤薬局に勤務
  • 地域のかかりつけ薬剤師を目指し吉祥寺エリアで勤務
  • その後株式会社アトイに入社現在に至る

卒業してから調剤薬局一筋の経験を活かし、人材育成や教育に携わっていきたいと考え入社しました。

現在はあやめ薬局井草八幡店という店舗で管理薬剤師をして地域の方々の憩いの場として関わらせていただいてます。

記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬剤師 武田 隆芳 

これまで4年間病院、8年間調剤薬局で勤務。

西洋薬で様々な事を学んできましたが、身近にいる人の悩みにもっと深く関わり治していきたいという想いがあり漢方の道へ。

西洋医学・東洋学にも精通。

また人事部長の経験から人を繋ぐ取り組み企業×学生の「やくフェス」を開催。

現在100人規模の人数が集まり随時開催されている。