この記事の要点
- 病院で薬を渡さないのは「医薬分業(いやくぶんぎょう)」という仕組みのためです。出し惜しみではありません。
- 医師が処方を決め、薬剤師がもう一度たしかめるという二段構えにするのが、この仕組みのねらいです。
- 処方箋はどの保険薬局に出しても構いません。病院の目の前の薬局に並ぶ必要はありません。
- 窓口のお支払いは院外のほうが高くなる傾向があるとされています。そのぶん、確認の手間がかけられています。
こんにちは。「全国かかりつけ薬局百名店」運営事務局です。
「やっと診察が終わったのに、今度は薬局で待つの?」
「病院ですべて渡してくれたら早いのに……」
診察が終わって、渡されたのは薬ではなく1枚の紙。
体調が悪い日ほど、この「もう一軒」はこたえます。ただ、これには理由があります。
病院が薬を出し惜しみしているわけではありません
病院で薬が渡されないのは、「医薬分業」という仕組みに沿っているからです。
医薬分業とは、医師が処方を決め、薬剤師が薬をそろえて渡す、と役割を分けるやり方のことです。
日本では、この形が基本になっています。
もとになっているのは、処方を決める人と、薬を渡す人を分けておくという考え方です。
そうしておけば、処方の内容をまったく別の立場の人が見直せます。
つまり、通っている病院だけが不親切なのではありません。制度としてそうなっています。
【早見表】院内処方と院外処方、何が違う?
| 項目 | 院内処方 | 院外処方 |
| 薬を渡す人 | その医療機関 | 薬局の薬剤師 |
| 移動 | その場で完結 | 薬局へもう一軒 |
| たしかめる目 | 医師が中心 | 医師と薬剤師の二段構え |
| ほかの病院の薬 | 把握しにくい | まとめて確認しやすい |
| 窓口のお支払い | 抑えられることが多い | 高くなる傾向がある |
表を一言でいうと、院外処方は「手間が1つ増える代わりに、たしかめる目が1つ増える」やり方です。
病院と薬局を分ける、2つの理由
① 医師と薬剤師が、別々にたしかめられる
医師は診察をして、処方の内容を決めます。
薬剤師は、その処方に飲み合わせや量の問題がないかを、別の目でたしかめます。
気になる点があれば、薬剤師から医師へ確認の連絡を入れます。これを疑義照会(ぎぎしょうかい)といいます。
連絡が入ったからといって、処方に間違いがあったとは限りません。
念のための確認であることがほとんどです。
薬局で待つ時間には、この確認のための時間も含まれています。くわしくはこちらをご覧ください。

② 複数の病院の薬を、まとめて見られる
内科と整形外科、それに皮膚科。かかっている診療科が増えるほど、薬が重なる心配も増えます。
薬局を1か所にまとめておけば、すべての薬を1本の線でつないで見ることができます。
院内処方では、その医療機関で出た薬しか分かりません。
たとえば、内科の胃薬と整形外科の胃薬。成分が近いものが同時に出ていることがあります。
こうした重なりは、両方の処方箋を1か所で見ているからこそ気づけます。
これが「かかりつけ薬局」を持つことがすすめられる理由でもあります。

「二度手間」を軽くする、3つの工夫
仕組みの話は分かっても、体調が悪い日に2か所まわるのはやはり大変です。
次の3つを知っておくだけで、負担はずいぶん軽くなります。
- 処方箋を先に薬局へ送っておく。アプリやLINEで写真を送れる薬局が増えています。着くころには準備が進んでいます(原本は受け取りのときに渡します)
- 薬局を1か所に決めておく。2回目からは記録が残っているので、やりとりが短くなります
- 病院の目の前にこだわらない。処方箋はどの保険薬局にも出せます。自宅や職場の近く、通り道の薬局でも構いません
とくに3つ目は、知らないままの方が多いところです。診察のあと、混んでいる薬局に並び直す必要はありません。
ただし、処方箋には「交付の日を含めて4日以内」という期限があります。
日をまたいで持ち歩くときは、そこだけ気をつけてください。

よくある質問(FAQ)
その場で薬をくれる病院もあります。あれは何が違うのですか?
院内処方といって、いまも行っている医療機関はあります。
どちらの形をとるかは、その医療機関の方針で決まっています。
受診する側で選べるものではありません。紙を渡されたら、それが院外処方です。
処方箋は、どの薬局に出してもいいのですか?
保険薬局であれば、どこでも構いません。
「この病院の処方箋は、この薬局でしか受け付けない」ということはありません。
自宅の近く、職場の近く、通り道。通いやすい場所で選んでください。ただし、めずらしい薬は取り寄せになることがあります。
薬局で払うぶん、院内でもらうより高くつきますか?
一般的には、院外のほうが窓口でのお支払いは高くなる傾向があるとされています。
薬剤師が処方の内容をたしかめ、記録に残す作業のぶんが含まれるためです。
そのかわり、ほかの医療機関の薬との重なりを見つけてもらえるという役割があります。
※お支払いの決まりは国の制度で定められており、見直されることがあります。
まとめ:薬局は「もう一つの、たしかめる場」です
病院で薬をもらえないのは、医薬分業という仕組みのためです。医師と薬剤師が、別々にたしかめる形をとっています。
遠回りに見えますが、薬が重なっていないか、量が合っているかを、もう一度見る場にもなっています。
どうせもう一軒寄るなら、通いやすい薬局を1か所決めておくのがおすすめです。2回目からは、ぐっと楽になります。
病院の目の前でなくても構いません。自宅の最寄り駅や、買い物のついでに寄れる場所で選ぶほうが、長く続きます。
なお、処方箋が要る薬と、薬局やドラッグストアで買える薬の違いは、こちらの記事で整理しました。

あなたの街の「百名店」はどこ?
記事監修者 いちょう薬局 人事担当・管理薬剤師 氏家 大我

星薬科大学卒業後、2023年に新卒でいちょう薬局へ入社。
入社わずか2年目で管理薬剤師と新卒採用担当に抜擢される。
「薬剤師業務×採用」の二刀流で毎日楽しく働きながら、将来的には独立も視野に入れ活動中。
中小規模だからこそ実現できる「圧倒的な成長スピード」を体現する若手エース。
記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。
6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。
その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。



