この記事の要点
- 錠剤を割る・砕く、カプセルを開けるのは、自分で決めずに薬剤師に相談してからにします。
- ゆっくり溶ける錠剤や、腸で溶ける錠剤は、形を変えると、その薬のつくりの意味がなくなります。
- 飲めないときは「薬局で割る・粉にする」「薬の形を変える」「飲み込み方を工夫する」の3つの道があります。
- 割った薬は、湿気や光の影響を受けやすくなることがあるため、保管にも気をつけます。
こんにちは。「全国かかりつけ薬局百名店」運営事務局です。
「この錠剤、大きすぎてのどを通らない」
「カプセルを開けて、中身だけ飲めないかな」
薬がのどにつかえると、毎回の服用が憂うつになりますよね。
小さくする前に、まず薬の形を確かめてください。
「小さくすれば飲みやすくなる」とは限りません
錠剤を半分にすれば、のどを通りやすくなりそうです。
ところが、割ったり砕いたりしてはいけない薬もあります。
錠剤やカプセルの形には、それぞれ役割があります。
ゆっくり溶かす、胃では溶かさない、苦みを閉じこめる、などです。
形を変えると、その工夫が台なしになることがあります。
まずは、手元の薬がどの形なのかを知っておきましょう。
【早見表】薬の形ごとの「割る・砕く・開ける」
| 薬の形 | 自分で形を変える? | 理由 |
| 真ん中に線(割線)がある錠剤 | 医師の指示があれば割ることも | 半分で使う前提のものが多い |
| ゆっくり溶ける錠剤(徐放錠) | しない | 中身が一度に溶け出すおそれ |
| 腸で溶ける錠剤(腸溶錠) | しない | 胃で溶けないための膜が壊れる |
| カプセル | 開けない | 苦みや刺激から中身を守る殻 |
| 口の中で溶ける錠剤(OD錠) | 割らなくてよい | 水なしでも口の中で溶ける |
表のとおり、自分で形を変えてよい薬は、ごく一部です。
迷ったら、手を加えずにそのまま薬局へ相談してください。
割る・砕く前に、薬の形を見分ける手がかり
薬の形は、見た目だけでは分かりにくいものです。
次の3つを手がかりにしてください。
1つ目は、薬の名前の最後です。
「L」「LA」「CR」「SR」などが付く薬は、ゆっくり溶けるタイプのことがあります。
2つ目は、薬と一緒にもらう説明書です。
「かまずに飲む」「割らずに飲む」と書かれていたら、形を変えてはいけない薬です。
3つ目は、薬の袋やお薬手帳のシールです。
名前に「OD」と付く薬は、口の中で溶けるタイプです。
表面がつるっとした色付きの膜でおおわれた錠剤もあります。
この膜は、苦みやにおいを閉じこめていることがあります。
砕いてしまうと、思っていた以上に苦くて、かえって飲みにくくなることもあります。
名前の決まりには例外もあります。
分からないときは、薬局に電話で薬の名前を伝えれば、その場で調べてもらえます。
大きくて飲めないときの3つの対処法
① 医師に確認して、薬局で割る・粉にしてもらう
割ってよい薬なら、薬局で半分にしたり、粉にしたりして渡せる場合があります。
ただし、薬局の判断だけでは形を変えられません。
薬剤師が処方した医師に問い合わせ、了解をとってからの作業になります。
手間がかかるぶん、待ち時間や料金が少し増えることがあります。
次回からで構わなければ、前もって伝えておくと準備が進めやすくなります。
医師への問い合わせや、薬局で行う加工の中身は、この記事でもふれています。

② 薬の形そのものを変えてもらう
同じ成分でも、小さい錠剤、粉薬、シロップ、口の中で溶ける錠剤など、別の形が用意されている薬があります。
診察のときに「錠剤が大きくて飲みにくい」と医師に伝えてみてください。
薬局の窓口で話せば、薬剤師から医師へ、形の変更を提案することもできます。
ゆっくり溶けるタイプのように割れない薬でも、別の形に切り替えられる場合があります。
③ 飲み込み方を工夫する
形を変えなくても、飲み方のひと工夫で楽になることがあります。
まず、水を一口ふくんでのどをしめらせてから薬を入れます。
乾いたのどには、錠剤がはりつきやすいためです。
カプセルは水に浮きやすいので、少しうつむき加減で飲み込むと通りやすいとされています。
薬を包んでのどの通りをよくする「服薬補助ゼリー」も、薬局やドラッグストアで手に入ります。
組み合わせてよいかは、念のため薬剤師に確かめてください。
水の代わりにお茶や牛乳を使ってよいかは、下の記事で整理しました。

よくある質問(FAQ)
錠剤カッターを使えば、自分で割ってもいいですか?
割ってよい薬かどうかを、先に薬剤師に確かめてください。
割ってよい薬なら、錠剤カッターを使うと断面がそろいやすくなります。
割線のない錠剤は、きれいに半分にならず、1回の量がずれることがあります。
割った残りの半分は、次に飲むときまで取っておいていいですか?
しまい方は、薬ごとに薬局で確かめてください。
割った面から、湿気や光の影響を受けやすくなる薬があります。
すぐに飲みきらないときは、入れ物や置き場所を相談しておくと安心です。
前の薬は割って飲めたのに、今回は「割れません」と言われました。なぜですか?
同じ成分でも、形が違う可能性があります。
ふつうの錠剤と、ゆっくり溶ける錠剤の両方がある成分もあります。
名前が似ていても、扱いが同じとは限りません。
薬を湿気や光から守る置き場所の選び方は、こちらから。

まとめ:形を変える前に、まず薬剤師にひと声
錠剤を割る・砕く、カプセルを開けるのは、自分だけで決めないでください。
薬の形には、ゆっくり溶かす、胃で溶かさないといった役割があります。
「飲みにくい」と伝えれば、割る・粉にする・形を変えるといった道を一緒に探せます。
のどにつかえるつらさは、がまんしなくてよい悩みです。
次に薬を受け取るとき、窓口でひと言だけ添えてみましょう。
あなたの街の「百名店」はどこ?
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬剤師 武田 隆芳

これまで4年間病院、8年間調剤薬局で勤務。
西洋薬で様々な事を学んできましたが、身近にいる人の悩みにもっと深く関わり治していきたいという想いがあり漢方の道へ。
西洋医学・東洋学にも精通。
また人事部長の経験から人を繋ぐ取り組み企業×学生の「やくフェス」を開催。
現在100人規模の人数が集まり随時開催されている。
記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。
6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。
その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。


