この記事の要点
- 余った漢方薬は、捨てる前に、出してもらった医療機関か薬局に相談してください。次回の量を減らせることがあります。
- 漢方薬は「そのときの体の状態」に合わせて選ばれます。時間がたつと、同じ症状でも合わなくなることがあります。
- ご家族に分けるのは、絶対にやめてください。漢方は「症状」ではなく「その人の体質」で選ぶためです。
- 漢方薬は湿気に弱いものが多いです。袋の口を閉じて、湿気の少ない場所で保管してください。
こんにちは。「全国かかりつけ薬局百名店」運営事務局です。
「お昼の漢方薬をよく飲み忘れて、引き出しに大量に余っている……」
「煎じるのが手間で、煎じ薬が何日分も残っている……」
それでも、お医者さんに「ちゃんと飲めていますか?」と聞かれると、つい「はい」と答えてしまう。
そして結局、余った漢方薬を黙って処分してしまう……。
漢方薬は飲む期間が長くなりやすく、1日3回や煎じる手間もあって、「気づいたら家に溜まっていた」が起こりやすいお薬です。
捨てるのはもったいない。でも、自己判断で飲むのも心配。漢方薬には、ふつうのお薬とは少し違う注意点があります。
まず、その漢方薬が「どちらか」を確かめてください
ひとくちに漢方薬といっても、手に入れた経路によって相談先が変わります。まずここを分けてください。
| どこでもらった? | 相談先 |
| 病院・クリニックで処方された(保険の漢方) | いつもの薬局、または処方した医師 |
| 漢方薬局で相談して購入した(自費の漢方・煎じ薬など) | 相談したその薬局 |
| ドラッグストアで自分で買った | 買った店の薬剤師・登録販売者 |
どれであっても共通しているのは、「まず持っていって見せる」ということです。
薬の名前だけを電話で伝えるより、現物を見せたほうが、話が何倍も早く進みます。
病院で処方された漢方薬なら、次回の量を減らせます
病院で処方された漢方薬は、ほかの処方薬と同じように「残薬調整」の対象になります。
薬局で「家に○日分ほど残っています」と伝えてください。薬剤師が医師に確認したうえで、次回の処方をその分だけ減らすことができます。結果としてお支払いも軽くなります。
「言いにくい」と感じる方が多いのですが、薬剤師にとってはむしろ伝えてほしい情報です。くわしくはこちらにまとめています。

この「言いにくさ」について、元病院薬剤師で、診察室での患者さんの心理に詳しい武田 隆芳 先生(漢方薬局 嶺耀堂)に伺いました。
【武田先生の解説:病院を知る視点】
「『ちゃんと飲めていますか?』と聞かれて、つい『はい』と答えてしまう。
これは、とてもよくあることです。診察室では、特に言い出しにくいと思います。ですが、余っていることを黙っておくほうが、結果的にはもったいないんです。
そして、余った漢方薬でいちばん大切なのは自己判断で飲まないこと。以前効いたお薬でも、症状が変わっていれば逆効果になることがあります。
まずは薬局に持ってきてください。使用期限は、こちらで確認します。医師へお伝えするのも私たちの仕事ですから、ご自分から切り出さなくても大丈夫ですよ」
漢方薬ならではの注意点が、3つあります
① 同じ症状でも、前と同じ漢方が合うとは限らない
これが、漢方薬でいちばん誤解されている点です。
漢方薬は「この症状にはこの薬」という決まり方をしません。そのときの体力・冷えやほてり・胃腸の状態など、体全体の様子を見て選ばれます。
ですから、数か月たって同じ症状が出ても、体の状態が変わっていれば、合う漢方も変わります。
「前にもらった分が残っているから、とりあえず飲もう」。この判断が、いちばん避けたいところです。
② 家族に分けるのは、特に危険です
「同じ冷え性だから」「同じ胃の不調だから」とご家族に渡してしまう。これは絶対にやめてください。
理由は①と同じです。漢方薬は「症状」ではなく「その人の体質」に合わせて選ばれているので、同じ症状の別の人には、まったく違う漢方が向いていることが普通にあります。
③ 湿気に弱いものが多い
粉状(エキス顆粒)の漢方薬は、湿気を吸って固まったり、においが変わったりすることがあります。
袋の口をしっかり閉じ、洗面所やコンロのそばを避けて保管してください。固まっている・においが変わっている・色が変わっているものは、飲まずに相談を。
品質と体質の見方について、一人ひとりの体質に合わせて改善を図る前原 信太郎 先生(漢方薬局 太陽堂)に伺いました。
【前原先生の解説:漢方の品質と「証」】
「漢方薬、とくにエキス剤(粉薬)は湿気に非常に弱いです。余った場合は、保管の仕方に注意して、期限をチェックすることが大切です。
それから、漢方は「証(しょう)」=そのときの体質や症状に合わせて処方します。
以前効いたからと自己判断で飲むと、証が変わっていれば効かない、あるいは逆効果になることもあるため危険です。薬局では、余ったお薬の種類と保管の状態を確認したうえで、残薬調整や、今の体質に合っているかの確認を行います。持ってきていただければ、そこから一緒に考えられますよ」
よくある質問(FAQ)
余った漢方薬は、捨てるしかないのでしょうか?
捨てる前に、必ず一度持っていって相談してください。
病院で処方されたものなら、次回の量を減らせる可能性があります。
漢方薬局で購入したものなら、今の体調に合っているかを見てもらったうえで、飲み方を調整してもらえることがあります。判断は自分でせず、専門家に見せるのが確実です。
飲み忘れた分を、次にまとめて飲んでもいいですか?
まとめて飲むのはやめてください。
量を増やせば効きが良くなる、というものではありません。
飲み忘れが続いて余ってきたのであれば、「1日3回が続かない」ということ自体を相談してください。回数を減らせる形に変えられる場合もあります。
使用期限が書いてありません。いつまで飲めますか?
個包装の袋や箱に印字がないか、まず確認してください。
分包された状態だと、期限が印字されていないことがあります。その場合はいつ頃もらったものかを添えて、薬局に確認してください。
期限内であっても、保管の状態によっては品質が落ちていることがあります。
まとめ:漢方は「体質に合わせたオーダーメイド」です
余った漢方薬は、捨てる前に相談。これが基本です。
病院で処方されたものなら量を減らせますし、漢方薬局のものなら今の体調に合わせて見直してもらえます。
そして、自己判断で飲まない・家族に分けない。漢方薬は「その人の、そのときの体」に合わせて選ばれた、オーダーメイドのお薬だからです。
漢方をじっくり相談できるお店をお探しの方は、姉妹サイトもご覧ください。
あなたの街の「百名店」はどこ?
記事監修者 漢方薬局 太陽堂 漢方薬剤師 前原 信太郎

祖父が沖縄で開業医をしていた影響もあって、薬に触れる仕事がしたいと「薬学」の道へ。
6 年間調剤薬局に勤めていましたがライフスタイルや食生活が変化する現代において、調剤(病院のお薬)だけで病気を治していく事に限界を感じ、2017年漢方薬局 太陽堂に入局。
その中で一人一人の体質に合わせて病気を改善していく漢方に出会い、その道に進み、今に至る。
記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬剤師 武田 隆芳

これまで4年間病院、8年間調剤薬局で勤務。
西洋薬で様々な事を学んできましたが、身近にいる人の悩みにもっと深く関わり治していきたいという想いがあり漢方の道へ。
西洋医学・東洋学にも精通。
また人事部長の経験から人を繋ぐ取り組み企業×学生の「やくフェス」を開催。
現在100人規模の人数が集まり随時開催されている。



