抗生物質は途中でやめていい?最後まで飲みきる理由と、症状が良くなった後の注意点を薬剤師が解説

この記事の要点

  • 抗生物質は、症状が落ち着いても指示された分を最後まで飲みきるのが基本です。
  • 熱が下がった=菌がいなくなった、ではありません。途中でやめると、菌が残ることがあります。
  • 自己判断でやめると、薬が届きにくい菌(薬剤耐性菌)が増える一因になると考えられています。
  • おなかがゆるいなど気になることが出たら、やめる前に薬局か医師へ相談してください。

こんにちは。「全国かかりつけ薬局百名店」運営事務局です。

「熱も下がったし、もう飲まなくていいよね?」
「あと2日分、残っているけど……」

抗生物質(こうせいぶっしつ=細菌の増殖をおさえるはたらきを持つ薬)は、体調が戻った時点で飲むのをやめてしまう方が少なくありません。

「余った分は、次に熱が出たときに飲めばいい」。
そう考えて、引き出しにしまっている方もいらっしゃいます。

ですが、それはいちばんもったいない終わり方です。
理由を、順番に説明します。


症状が消えても、菌がいなくなったとは限りません

抗生物質を飲み始めると、1〜2日で熱や痛みが軽くなってくることがよくあります。

このとき体の中では、菌の数が減っただけという段階のことがあります。
数が減れば症状は軽くなりますが、菌がゼロになったわけではありません。

ここで薬をやめると、残った菌がふたたび増えて、症状がぶり返すことがあります。

【早見表】飲んでいる間、体の中で起きていること

飲み始めてから起きていること
1〜2日目菌の数が減りはじめる。熱や痛みが軽くなり「もう平気」と感じやすい
3〜4日目症状はほとんど気にならない。ただし菌が残っていることがある
指示された最終日ここまで飲みきって、はじめて想定どおりの飲み方になる

飲む日数は、菌の種類やそのときの体の状態を見て医師が決めています。
3日で終わるものもあれば、1週間以上続けるものもあります。

つまり、「もう平気」と感じる時期と、飲み終わる時期は一致しません。
体感ではなく、指示された日数で終わりを決めてください。


途中でやめないほうがよい3つの理由

① 症状がぶり返し、通院が増えることがあります

残った菌が増えれば、もう一度受診し直すことになりかねません。
通院の回数も、支払う金額も増えてしまいます。

一度おさまった症状がぶり返すと、体もつらくなります。
仕事や学校を、もう一度休むことにもなりかねません。

② 薬が届きにくい菌が増える一因になります

中途半端な量でやめることを繰り返すと、その薬が届きにくい菌(薬剤耐性菌)が生き残りやすくなると考えられています。

これは自分だけの話ではありません。
次に薬が要るときの選べる幅が、狭くなっていきます。

世界的な課題として、国も対策を進めているテーマです。
一人ひとりの飲み方が、そのまま積み重なっていきます。

③ 「残して、また今度」は通用しません

抗生物質は、菌の種類やそのときの体の状態に合わせて選ばれています。
次に似た症状が出ても、同じ薬が合うとは限りません。

自己判断で飲むこと、家族に分けることは避けてください。
残った分の扱いは、薬局に相談するのが確実です。


かぜのときに抗生物質が出ないのは、なぜ?

「かぜをひいたのに、抗生物質を出してもらえなかった」。
そう感じたことのある方も、いらっしゃると思います。

抗生物質は細菌に対して使う薬です。
かぜの多くはウイルスによるもので、抗生物質の出番ではありません。

出番でないときに飲むと、おなかの調子をくずすなどの負担だけが残ります。

出されたときは、最後まで飲みきる。出されないときは、飲まない。
この2つが、抗生物質とのつきあい方の基本になります。


飲みきるのがつらいと感じたときは

おなかがゆるくなる、発疹が出るなど、体に変わったことが起きる場合があります。

そのときは、自分でやめる前に薬局か処方した医師へ連絡してください。
飲む時間をずらす、別の薬に替えるなど、相談できることがあります。

「錠剤が大きくて飲みにくい」といった理由でも構いません。
言いにくいことではないので、遠慮なく伝えてください。

なお「1回分を飲み忘れた」ときの考え方は、こちらの記事にまとめています。


よくある質問(FAQ)

熱が下がりました。残りは取っておいて、また熱が出たときに飲んでもいいですか?

おすすめできません。

抗生物質は、菌の種類や体の状態を見て選ばれているためです。
とっておいた分を自分の判断で飲むのは避けてください。扱いに困ったら、袋ごと薬局へお持ちください。

牛乳やヨーグルトと一緒に飲んでもいいですか?

薬によっては、避けたほうがよい組み合わせがあります。

牛乳のカルシウムが、一部の抗生物質とくっついてしまうことがあるためです。
基本は、水かぬるま湯で飲んでください。くわしくは下の記事をご覧ください。

子どもが途中で飲むのをいやがります。やめてもいいですか?

やめてしまう前に、薬局に相談してください。

小さなお子さんの薬は、量が体重や年齢ごとに細かく決まっているためです。
飲ませ方の工夫や、味や形の違うものに替えられる場合もあります。


まとめ:終わりを決めるのは「症状」ではなく「日数」です

抗生物質は、症状ではなく日数で終わりが決まる薬だと考えてください。

熱が下がっても、痛みが引いても、指示された分を最後まで飲みきる。
覚えておくのは、この1つだけで十分です。

途中でやめたくなったときは、そのままにせず薬局へ。
飲み方を変える手があるかどうか、その場で一緒に考えられます。

そして、飲みきったあとに残ってしまった分は、袋ごと薬局へ。
引き出しにしまったままにするのが、いちばんもったいない形です。


あなたの街の「百名店」はどこ?

記事監修者 いちょう薬局 人事担当・管理薬剤師 氏家 大我

星薬科大学卒業後、2023年に新卒でいちょう薬局へ入社。

入社わずか2年目で管理薬剤師と新卒採用担当に抜擢される。

「薬剤師業務×採用」の二刀流で毎日楽しく働きながら、将来的には独立も視野に入れ活動中

中小規模だからこそ実現できる「圧倒的な成長スピード」を体現する若手エース。

記事監修者 漢方薬局 嶺耀堂 薬剤師 武田 隆芳 

これまで4年間病院8年間調剤薬局で勤務。

西洋薬で様々な事を学んできましたが、身近にいる人の悩みにもっと深く関わり治していきたいという想いがあり漢方の道へ。

西洋医学・東洋学にも精通。

また人事部長の経験から人を繋ぐ取り組み企業×学生の「やくフェス」を開催。

現在100人規模の人数が集まり随時開催されている。